誰にも言わない
冬彦さんとは関係ないけれど、口に出して言ってしまうと、さらに現実味を増して反響して聞こえてきそうな気がするから、誰にも言えない、誰にも言わない、つらいことや苦しいこと。
そうした自制を続けた10年ほどの間に、食いしばって割った奥歯が3本。
そうして食いしばることを避けるために、今度は自制を止めて、見ないように、思い出さぬように、考えないように、日々を過ごしている。
いるけれど、今日のように、畳みかけるように、あれこれ責められると(そうではなく、ただ愚痴を聞かされただけかもしれないけれど)、逃げ場を失くした気になって、また落ち込む。
それから、仕方がないので、気を紛らすために、酒を呑む。
どっちに行っても、気は晴れない。誰の所為か、何の所為か、やり場のない気持ちを飲み下すのだ!