みてー!おばあさん
近所のスーパーへ買い物にでかけた。
坂を上りながら、初詣の参拝客だろうか、数組の人たちとすれ違う。
坂を下りながら、向こうから5、6人の家族連れらしき一群がやってくるのが見えた。
その中のもっとも小さいであろう子供の声が聞こえた。
なんとなく自分に向けられている声のような気がした。自意識過剰か。
近づきながら、再度声が聞こえ、姿がはっきり見えた。
まだ学齢には達していない女の子だった。
「みてー、おばあさん」
そう聞こえた。
反射的にその方向を見ると、私に向かって指をさす女の子と目が合った。
私と同じ方向から歩く人は他に居なかったし、矢張り私のことだったのだと確認した。
すれ違う際、目が合ったまま、女の子に会釈をした。
女の子はにっこり笑った。
親御さんであろうほか大人たちは、無反応に、女の子の手を引いて、坂を上っていった。
おばあさんは坂を下りて、買い出しを済ませましたとさ。