生まれる前の誕生日

私は子がいないので、絶対の身内というのは、両親しかいない。だからなのか、単に記念日のようなものを覚えるのが好みなだけなのかわからぬけれど、知り合った人の誕生日とか、命日とか、年を取って、大した重要事項でなくなったりしても、なんだか気になる質だ。

そして今日は、私の生まれる前の誕生日。

それは、私の父と母が、ある男とある女から、「私の」父と母になることが決まった日だからだ。

もう父はいないし、母も遠からずいなくなるであろうから、そんな日に何の意味もないとは思うが、毎年必ず同じ思いをして過ごす。

せっかく生んで育ててもらったのに、何も成せず申し訳なく思う。いつかあの世へ行った時、面目なくて、会いに行かれぬだろう。

それでも、生まれる前の誕生日、おめでとう。結婚記念日、ありがとう。